古書と古本の違い。古書は高額買取となる物も!?
日本には「本の街」として知られる有名な穴場スポットがあることをご存知でしょうか?
「神保町」という東京都千代田区神田にある一つの街。
「どんな本でも手に入る」と言われているこの街は、三省堂書店のような大型書店から、普段は中々手に入らない珍しい古書を取り扱っているお店まで、約190書店が集まる世界屈指の「本の街」です。
本の街といえば世界各国にどこかしら存在しているようなイメージを受けますが、一つの地域にこれだけ書店が密集している神保町のような街は、世界規模で見ても大変珍しいようです。
本が好きな人はもちろんのこと、学習の資料として必要とする学生たちなど、ここでしか手に入らない貴重な本との出会いを求めて多くの人が足を運ぶ場所、それが”神保町”です。
特に「古書」を販売しているお店が多いのも大きな特徴であり、古書店街としても世界最大級ですし、日光が当たって本が傷まないよう店舗を北向きに建てているほどの徹底ぶりです。
古書はただでさえ年代が積み重なった本ですから、保管に慎重になるのは本好きなら尚更ですよね。
しかも古書はものによって数万円~数千万円、果ては国宝級のものまで存在します。
とってもスケールが大きく、内容も渋いコレクター品なのです。
古書や古本というだけで何故か嫌悪したり侮っている人が多いのが現状の昨今ですが、それは確実に大きな間違いです。
古書の年代にもよりますが、例えば現代語とは違う文章表現で執筆されたは小説は、それこそ読みにくかったりするものの、大変勉強になります。
INDEX
古書と古本の明確な違い
ちなみに皆様は古書と古本の違いっておわかりになりますでしょうか?
なんとなーく「どちらも同じようなものである」と考えていらっしゃる方が、実は多いのではないでしょうか?
というわけでここで簡単に”古書と古本”の違いを説明させていただきます
古本とは?
『古本』とは、一度人の手に渡ったことのある所謂中古の本のことであり、一般の書店でも同作品の新品を販売している本を指します。
そして基本的に定価よりも安い値段で販売されています。
新品or中古でも、いつでも好きように手に入れることができる本というわけですね。
古書とは?
『古書』とは、絶版になってしまい新品が手に入らなくなった本のことを指します。
絶版になってしまうと今後再出版はされないということですから、当然希少価値が高まり定価よりも価格は高騰します。
特に歴史的な価値を持つ本、そしてISBNコードがついていない時代に出版された本のことを指すのに用いられる言葉でもあります。
ISBNコードとは?
ISBNコード(International Standard Book Numberの略)とは、世界共通で図書(書籍)を特定するための番号のことです。
日本語に訳すと国際標準図書番号という意味になりますね。
日本ではこれを基に日本図書コードが作られ使用されています。
ただし、ISBNコードは出版社がつけるかつけないかを自由に決められるので、無論ついていない本も存在します。
古書の種別
現在絶版になっている古い書籍(歴史資料含む)の種類を細かく分ければいくらでも分けられるのですが、ここでは買取対象になる本、つまりこれからご紹介する『古典籍』『古文書』『巻物』などもまとめて広い意味での”古書”として扱います。
学術的に言えば当然違いはあるのですが、何卒ご了承くださいませ。
古典籍
古書の中でもかなり高い価値を持つのがこの『古典籍』です。
奈良時代~江戸時代以前の書写、または印刷された書籍で、現代において価値が認められる古書を指す言葉です。
そもそも「奈良」という単語を見ただけで、かなりの歴史的価値があることは一瞬で想像できますよね。
ただ、「印刷」というワードを見て、コピーなのに価値が認められる古典籍になるのか?
……と、疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、もちろんなりますよ!
“印刷(コピー)”と聞くと、つい最近の技術のように思ってしまいがちですし、なんとなく模造品のような、所謂偽物をイメージしてしまいますよね。
しかし、それは違います。
陀羅尼とは、声にだして発声することが重要視されるタイプのお経のことです。
お経の呪文バージョンとでもいいましょうか。
RPGの魔法使いや、ハリーポッターの魔法の呪文を想像していただくとわかりやすいかと思います。
言霊、つまり言葉に力が宿るとされているお経です。
いつの時代も戦争や飢饉、災害は発生してしまいますので、そういった場合は供養のためのお経がたくさん必要になってきます。
したがって、印刷で刷らなければとても間に合いません。
もうおわかりの通り、印刷技術&印刷物は大昔から存在しており、印刷(コピー)された古書も大変貴重な重要文化財なのです。
中には国宝級のものも存在しますよ!
古文書
広い意味で「古い文書」を表す言葉として、よく時代劇で耳にする言葉ですよね。
歴史学上は特定の対象者である人に意思を伝達するために作成される文書で、近世以前のものを指します。
古記録
古い時代に書かれた資料となる記録のことで、内容に特定の相手がいないという特徴があります。
特に公私の日記類を指します。
日記とは基本自分のため、または貴重な記録として後世のために記すものであって、明確な特定の人物に宛てて…ということはないですものね。
代表的なものでは『更級日記』『土佐日記』『紫式部日記』『蜻蛉日記』などが存在します。
これらは漫画にもなっていますので、学校の図書館で読んだことのある方も多いのではないでしょうか?
巻物と絵巻物
古書は、書かれた文字や筆記、イラスト付きかどうかも要チャックポイントです。
上の画像は、かの有名な在原業平:作『土佐日記』の自筆本を藤原定家が臨書(リンショ)したものです。
臨書(リンショ)とは手本を見て書くこと、すなわち書の学習の一環です。
仮名文字と真名文字(漢字)で書かれています。
歌人として高名な藤原定家の臨書ですからもちろんレアです。
ただし、定家は『源氏物語』の写本でもお馴染みの人物ですし、有名な古典文学の書写・注釈にも数多く携わっていたので、一般的な臨書とはちょっと意味合いが違うかもしれません。
そしてこちらの画像は『地獄草紙』という平安時代末に製作されたとされる絵巻物です。
横長の紙や絹を水平方向につないで長大な画面を作り、片端に木や竹などで作った芯(軸)を付けたものを「巻子装」というのですが、今現在私たちが読んでいる一般的な本の何も書かれていない状態をイメージしていただければわかりやすいかと思います。
つまり「巻子装」とは、最も古い本の形態のことなんです。
その巻子装に、数多の作者が随筆や物語や絵を描いて、初めて書物・経典・絵画作品である「巻子本」「巻物」「絵巻物」が誕生するわけです。
歴史が好きな方なら、それぞれの年代の中で発生した出来事と古書に記された文字、記された内容、本の状態、デザインを見ただけで「これは……‼」と直感することがあるかもしれません。
そういった感覚は、掘り出し物の発見には欠かせないセンスだったりもします。
記憶力が良く勘の鋭い人ですと、別段歴史に詳しくはなくても、何となく見ていたテレビ番組の歴史ドキュメンタリーですとか、ネットニュースの情報、たまたま手に取った雑誌や本などなど、そういった情報媒体から得た記憶が、新たに目から得た情報と瞬時に繋がって結果的に年代物の古書の発見になった…。
というパターンも珍しくはありません。
身近に存在する”古書”
国宝級だったり経典だったり、そんな表現がでてきてしまうと、なんだか本物の古書はそうそう手に入る代物ではないのでは?というイメージが湧いてきてしまいますよね。
ですが掘り出し物とは案外身近に在るモノなのです。
坂本龍馬の直筆の手紙
今から5年ほど前の2014年に、なんと坂本龍馬直筆の手紙が発見されました‼
しかも暗殺される直前に記された手紙でした。
もちろん本物です!
なにも博物館や資料館、大学の書庫や遺跡などの特別な場所で発見されたわけではありません。
ごくごく普通の一般家庭で発見されました。
東京都にお住いの男性が、30年以上前に骨董品売り場で購入したものを保管していたのです。
NHKの「突撃!アットホーム」という歴史系のドキュメントとか、お宝探しとはまったく違う内容の番組で、本当に偶然発見されたのですから驚きですΣ(・ω・ノ)ノ!
古書店・安土堂書店の八木正自さんの鑑定によると1500万円の価値があることが判明し、さらに周囲を驚かせました。
ちなみに所有者の男性は当時1,000円で購入したそうです。
当然といえば当然なのですが、一気に値段が跳ね上がりましたね。
『源氏物語』最古の写本
おそらく日本人で知らない人はいないであろう『源氏物語』。
その五十四帖にも及ぶ巻名の第5帖である『若紫』の最古の写本が発見されました。
NHKニュースで令和元年10月8日に報道されました。
書き写した人物は藤原定家で、源氏物語が記された200年後に活躍した人物でもありますから、より原本に近い内容ということになりますね。
「古典の教科書とかに載ってるのは原本の原文じゃないの??」とびっくりする方もいらっしゃる方かと思います。
実は、残念ながら源氏物語の原本は現存しておらず、内容は後の時代の知識人たちが記した写本で判断するしかありませんでした。
当然時代が経つにつれ、原本の内容とは少しずつ乖離が生まれたり、記す人物によっては個人的なアレンジが加えられてしまっている可能性もあるわけです。
源氏物語は現在も多くの著名な作家によって解釈され、作品が発表されています。
例えば瀬戸内寂聴さんや林真理子さん著の”源氏物語”は有名ですよね。
記される文章も現代人が読みやすいようになっていますから、平安、鎌倉、室町と時代が移り変わるにつれて、文章表現もその時代時代の人たちが読みやすいように表現されていてもおかしくはありません。
筆者も今から100年以上前の作家である芥川龍之介や森鷗外などの作品をいくつか読みましたが、古語や現在ではあまり使われない単語も使用されていたりして、やはり知識がないと読みにくいなと感じました。
たとえ現代でお馴染みの言葉であっても、昔と今では微妙に意味合いが違ったりする場合もありますので、同じ現象が源氏物語の写本にも発生してしまうわけです。
したがって、今回発見された藤原定家バージョンである『若紫』の写本は、数ある写本のなかでも抜群の信頼性、つまり、紫式部のオリジナルの表現にかなり近い内容であるといえるのです。
既に研究は進められており、今まで最もオリジナルに近いとされていた室町時代(源氏物語誕生から450年後)の『大島本』の写本と比べると、大きくストーリーは変わりませんが、やはり記述内容に細かな違いがあるそうです。
発見された『若紫』写本は、三河吉田藩(現在の愛知県豊橋市)の藩主・大河内家に伝わり、第15代当主の大河内元冬(もとふゆ)さん(72)が東京の自宅で保管していたものです。
藩主のお家ですから、一般の家庭より貴重な書物が存在する確率は格段に上がりますが、気付かなければスルーされ放っておかれて、気付く人が現れるまで結局そのままです。
つまり、一見価値がなさそうだったり、どーせ偽物だろうと思っていても、プロに鑑定してもらったら実は・・・・・・・‼
なんてことはそれほど珍しくはないということですね。
こういったことは、古書に限らずアンティーク品ならいつあり得てもおかしくないことです。
ですので、ちょっとでも気になる古い本を見つけたら安易に廃棄したりはせずに、一度査定にだしてみてください。
本物の古書ならば坂本龍馬の手紙や若紫同様に、大変貴重な、そして未来永劫保管され研究され続ける知的財産にもなりますから。
古書の値段はいくらくらい?
価値のある古書ともなれば、その値段は約数百万~数千万円クラスです。
中には値段をつけられないほど貴重なものも存在するでしょう。
古書店には古本が販売されている場合もその逆も
実は古本を販売している古本屋さんも屋号を「~古書店」と名乗っている場合があります。
逆に古書を販売している古書店屋さんが屋号を「~古本店」としている場合もあるのです。
しかし、これは違法でもなんでもなく一般的なことなので何ら問題はございません。
要は書店によって店名と販売しているものが異なる場合があるということですね。
中には古書と古本がごっちゃになって販売されているお店もありますし。
というわけで、実際に中に入り販売されている本が自分が求めている種類のものかどうかをよく確かめなければなりませんが、そうした時間も本好きの人からしてみれば宝探しのようでワクワクする有意義な時間となるのではないでしょうか。
古書を沢山持ってて不要にしているなら買取に出しましょう!
近日、買取店のご紹介ページを更新いたします。