世界を変えたギター、ストラトキャスターの魅力と買取事情
以前、フェンダー社とTelecasterの誕生までの記事を更新させていただきました。
そして今回はフェンダーの最も代表的なシリーズ、ストラトキャスターについて触れていきたいと思います!
ギターを手に取ったことがない人でもストラトキャスターは一度は目にしたことがあるはずです。
Fender社が1954年にリリースして以来、60年以上が経った今でも世界中のギタリストを虜にしています。
そこまで魅了させる理由を探るため、ストラトキャスターのリリースから2020年までの変遷を辿っていきたいと思います!
INDEX
ギターが弾けなかったレオ・フェンダーだからこそ作れた「ストラトキャスター」
有名な話ですが、創業者のレオ・フェンダーは技術者・経営者の二面で天才的なセンスを持つ人物でしたが、ギターは弾けませんでした。
レオ・フェンダーは一夜にして世界を変える革命家を目論むわけでもなく、長年にわたってコツコツと実用性の高いギター作りを続けていました。
だからこそ、テレキャスターやストラトキャスターといった世界の人々が求めるギターを生み出すことが出来たのかもしれません。
1954年に完成したストラトキャスター
テレキャスターで最初の成功を収めたレオ・フェンダーは、次に1954年にダブルカッタウェイボディの新しいギターを完成させます。
この時のモデルは2色のサンバースト仕上げで、ボディ材にはアッシュが使われていました。
従来のギターはボディとネックをニカワなどの素材によって接着(セットネック)するのが一般的でしたが、これは一本あたりの生産に時間と手間がかかりました。
そこでストラトキャスターでは、削り出した木製のネックを大胆にもボルトでボディに固定する(ボルトオン)構造を採ることで、生産性を大幅に良くしています。
他にも本体の構造を限りなく単純化しているのがストラトキャスターの特徴でもあります。
ギターヒーローもこぞって愛用
ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンといったギターヒーローがストタトキャスターを愛用した理由はいろいろな逸話がありますが
なによりソリッドボディであれば、大音量で演奏しても音が割れづらく
シーンに応じて甘い音色や繊細な音の表現もできるというストラトキャスターの懐の深さによるところが大きいのではないでしょうか。
モデルチェンジ
1956年になるとネックや塗装、そしてボディ材がハンノキ(アルダー)に変更が加えられます。
そして翌年には”クラシック”モデルが誕生し、V型ネックとアルダーボディやその他各部パーツの耐久性も向上したことから大ヒットとなりました。
1958年にはさらに大きな変更が加えられました。それまでのV型ネックを廃止し、U型ネックが採用されサンバーストはそれまでの2色から3色になりました。
1959年には指板がメイプルからローズウッドに代わり、ネックをさらに薄くするなど、さらに改良が続きます。
また、この時代のカラーは退色がしやすかった為、1961年以降の個体からはその対策が施されています。
CBSフェンダー時代の到来
1965年にフェンダー社に大きな変革が起きます。
それまでレオ・フェンダーが体調を崩したことをきっかけに経営から距離を置くことを決意
結果としてフェンダー社はCBS社に買収されました。
その後の1971年ごろ、買収後も技術顧問として社を支え続けた創業者レオ・フェンダーが社を去ってしまいます。
レオ・フェンダーという優秀な技術者を失った損失と音楽業界全体の不況が、CBS社の業績不振に歯車をかけ、徐々に事業規模を縮小していきます。
そんな状況に追い打ちをかけたのがフェンダー製ギターをコピーした安価な他社製品でした。
こうしてそれまでの栄華が幻だったかのように、フェンダーのかつての輝きは失っていきました。
フェンダーの再興する為、立ち上がったビル・シュルツ氏
そんなフェンダーの窮地の事態を救ったのが、ヤマハのアメリカ法人の経営に携わっていたビル・シュルツという人物でした。
1985年に最高顧問に就任するとフジゲンの技術支援のもと、製造拠点を失っていたフェンダー社にコロナ工場を用意し同時にフェンダー・カスタム・ショップを設立、ヴィンテージラインなどのラインナップの拡充、フェンダー・ジャパンを設立して良質な廉価モデル展開などの快進撃を続け、かつてのフェンダー社の勢いを取り戻しました。
2000年以降はストラトキャスターなどの主力楽器の販売に加え、フェンダー・カスタム・ショップというオーダーメイドギターの製造や販売が主力となっており、繊細な音色だけでなくオリジナルな見た目や演奏の手応えを求めて、多くのギタリストがオーダーメイドギターの製造を依頼しています。
2020年現在、フェンダー社がリリースしているギターのモデル
これまで様々なモデルのギターを生産してきたフェンダー社ですが、2020年現在販売されているのはいくつかのシリーズに留まります。
まず「セレクト」というモデルは2000年代、新しい体制へと移行したフェンダー社がそれを機にリリースしたモデルです。
低価格で手に入れやすいモデルは「アメリカン・スタンダード」として残存し、その上位モデルとして「アメリカン・デラックス」「アメリカン・エリート」も生産を行っています。
往年の音色が恋しい方には「アメリカン・オリジナル」というシリーズがピッタリです。
音からスタイルまで当時の雰囲気を再現することがコンセプトとしていて、高価ながらも非常にクオリティの高いギターに仕上げられています。
ストラトキャスターの価値はどのぐらいするの?
さて、これまでストラトキャスターの歴史をざっくりご紹介してきましたがここからはストラトキャスターの中古価値について触れていきたいと思います。
最も高額なストラトは?
世に出回っている物の中で、最も価値のあるストラトキャスターはエリック・クラプトンが愛用していた「ブラッキー」で
ニューヨークのオークションハウス、「クリスティーズ」に出品され、落札額はなんと1億円を超えました。
1954年製ストラトは今どのぐらいの価値?
最近は中古の出物がとても少なく、稀に500~1000万円の相場で市場に出てくることがあります。
中古品の相場
下記では現在中古品で出回っているストラトキャスターシリーズの相場をご紹介いたします。
仕様や状態によって相場は大きく変わるのでだいたいの目安にしていただければ幸いです!
- USA Custom Shop 14~100万円
- USA Deluxe 8~12万円
- USA American Elite 16~35万円
- USA American Vintage 10~32万円
- USA Standard 8~16万円
- Fender Mexico 4~6万
- Fender Japan 4~8万円